ジョイス、ベケット、ヒーニー、ビンチ―、ワイルド。小さな島国のアイルランドが文学の世界に果たした貢献は計り知れません。アイルランドが生んだ小説家、詩人、脚本家はジャンルを定義した先駆者として知られており、ノーベル賞受賞者も4人を数えます。
文学という遺産は私たちの文化にとって欠かせない一部であり、その痕跡は島中至るところに発見することができ、たとえば風景や町を走る通り、伝統的なパブに刻み込まれています。
ここでは、C・S・ルイスに『ナルニア国物語』執筆のインスピレーションを与えたモーン山地を眺め、詩人WB・イエーツや『ドラキュラ』作家ブラム・ストーカーも訪れたパブでビールを飲み、ダブリンにジョイスが残した足跡をたどることができます。
そう、偉大な物語や、物語の背後の物語を、まさに島中のあらゆる場所に見つけることができるのです。たとえばベルファストには、偉容で知られ、地元ではナポレオン・ノーズとも呼ばれるケイブヒルがあります。風刺作家のジョナサン・スウィフトはこの景色を見て、『ガリヴァー旅行記』の眠る巨人を創造したそうです。またロンドンデリーの郊外は、桂冠詩人のシェイマス・ヒーニーの作品 「土を掘る(Digging)」や「黒イチゴ摘み(Blackberry Picking)」にインスピレーションをもたらしたといいます。アート&リテラリーセンターのシェイマス・ヒーニー・ホームプレースでは、さまざまなエピソードや写真、ヒーニーが自作を朗読する声などを通して、詩人の世界に浸ることができます。
UNESCO指定の「文学の都市」ダブリンは、当地が生んだ文学界の英雄を誇りとし、その偉業をたたえるランドマークを多数擁しています。たとえば市内の通りには、アイコンと呼ばれる作家たちのブロンズ像が。グランド・キャナルではパトリック・カヴァナーに、メリオン・スクエアではオスカー・ワイルドに出会えます。さらにリフィー川にはその名もサミュエル・ベケット橋がかけられ、トリニティ・カレッジの劇場は、ブッカー賞作家アン・エンライトと深く結びついています。
賢者のように考え、民の言葉で伝えよ。
WB・イエーツ
文学という文化を湛えるもうひとつの方法をご存じですか? 答えはフェスティバルです。イエーツ・デイやブルームズデイ・イン・ダブリンといった毎年恒例のイベントが、パフォーマンスや朗読、未来の作家を対象にしたワークショップなどを通じて、アイルランドで最も有名な作家たちに賞賛を贈るのです。
これくらいご紹介すれば、もう十分ですよね?